介護士の職業病とも言えるのが、「腰痛」。
介護度の高い利用者さんを介助する際、どうしても腰に負担がかかることが多くなります。
介護度が低いから腰に負担はないのかと言われれば、そうとも言いきれないのが介護の苦しいところ。付き添い歩くのも中腰になる事が多いし、何度もしゃがむ事もあるのでそれはそれで腰痛の原因に…。

「腰が痛いけど、介護の仕事を続けたい!」



「現場で働きつづけるにはどうしたら…」
そう思っている方に向けて、この記事では腰痛の改善方法や、上司や同僚の方への相談、少しでも負担にならない為の対策や、部署移動、転職に向けたアドバイスができればいいなと思っています。



はじめまして。私はひろふみと申します。
介護福祉士として約10年働いていますが、私も腰痛に悩まされている介護士の1人です。
もともと腰椎椎間板ヘルニアを何度も経験していますが、介護士になってからも2、3回では収まらない程、腰痛に頭を抱える人生を送ってきたので腰痛に悩んでいる気持ちはわかります。
腰痛の原因


腰痛と言ってもさまざまな原因があります。
今回は介護士ということを踏まえて、代表的なものを4つご紹介します。
1.人手不足による業務の増加
介護業界の最も重要な課題ともいえる、介護士の人手不足。これは実際に私の職場でも問題となっています。
厚生労働省のデータでは、介護職員は少しずつ増加しているものの、要介護(支援)認定者も増加しています。現状の人手不足がまだ続くことが予想できるでしょう。
人手が減ればその分の業務が他の職員に回るので、1人に対しての業務が増加します。
そうなれば重労働は増えますし、時間内に終わる事も難しくなり残業も減らない。
オムツ交換や入浴介助にかけられる職員数も減り、少ない職員で利用者さんに対応しなければいけなくなるのです。
中腰の時間は増え残業は確定。腰痛になるのも無理はないです。
2.職場環境
私の職場を例として挙げさせていただきますが、建物が古く利用者さんが使う共同トイレのスペースがものすごく狭いです。車椅子が入っても介助者の入るスペースが狭い為、無理な体勢で介助を行わなければなりません。



現場で働く職員の声が、経営者に届いていないのが悲しい…
他には浴室スペースが狭く、大きなストレッチャーなどを動かすのに力が必要だったり、居室が狭くて無理な体勢で移乗をしなければなりません。
床が滑りやすく転倒してしまうなど、施設によって様々な問題点があると思います。
3.体格差
大柄な利用者さんを介助する時、ボディメカニクスを活用していたとしても、なかなか厳しい面があります。
逆に、小柄な利用者さんに対しては余計に屈まないといけないので中腰の姿勢が続きます。
ほかには、しゃがむ機会が多いですし、オムツ交換は中腰の姿勢が長時間続き、2人1組で行う介助に体格差があると、どちらかにベッドの高さを合わせるので我慢しなくてはいけない部分も出てきます。



私は身長が181cmあるので、しゃがんだり中腰の姿勢が腰に決ます。
4.力任せな介護
かかえない介助方法や、スライディングボードなどの便利な介護用品があるので力任せも減ってきていますが、無くなったわけではありません。
吊り上げ式のリフトなどもありますが、施設の予算的に導入されていない事も多いです。
ほかには、スキルが身についておらず、力任せにかかえたり、無理な姿勢で介護を行う事も大きな原因と言えるでしょう。
ベッドの高さ調節を使用せずに、無理な高さのまま介助を行うことも体に負担をかけることになりますので、適正の高さに合わせることが大切です。
腰痛が原因で退職


人手不足が問題視されている介護業界ですが、腰痛が引き金となって転職や退職する人も少なくありません。
日頃の生活から改善できるものもありますが、上司に相談したり、環境を変えたりすることが大切だったりします。
下記の4つの改善策でも腰痛がよくならない方は、腰の負担の少ない介護がおこなえる事業所に転職をするのも視野に入れてみてください。
腰痛改善といっても、個人個人に原因は違うのであなたに合うものを選んで試してください。
もちろん代表的なものを挙げていますので、この4つをしてもダメだと諦めることはありません。
前提として始めに医療機関の受診は必ず行ってください。



「病院はめんどくさいし、休んでほかの職員に迷惑をかけるのが嫌」
と、言われる方もいますが、腰痛の元を知らずに仕事を続けると大きな病気に気が付かないまま過ごすことにもなるので注意してください。
1.ボディメカニクスを学ぶ
介護士なら1度は聞いたことがあると思いますが、大事な基礎技術です。
ポイントは、
〇支持基底面積を広く
〇重心は低く
〇移動は水平移動
〇重心を近づける
〇てこの原理を意識する
〇押すより引く
介助者、介護者の双方に身体的負担の軽減が得られるので自分の技術の向上にも役立ちます。
利用者さんにも安心してもらえるのでwin-winと言えるでしょう。
2.整体・マッサージ、腰痛ベルトを使う。
骨盤ベルトやコルセットを使用することで痛みを緩和させることができます。
しかし、治療ではないので痛みが長続きしたり悪化した場合は、医療機関の受診をしてください。
整体では骨盤を整え筋肉をほぐしてくれるので、ぎっくり腰や慢性的な腰痛に効果があります。
鍼灸治療は血行の改善や筋肉に直接鍼を刺すので直接アプローチできるので効果的です。
それでも効果を感じない場合は、椎間板ヘルニアや内臓疾患などが考えられるので、医療機関による精密検査や治療を受けることをオススメします。
3.体に負担の少ない業務、部署に変更
自分の病状をしっかりと説明し業務内容を変更してもらうことも大切です。
第一に考えるのは「自分の身体」です。上司の方も親身になって話を聞いてくれるでしょう。
なかには、言いづらいという方もいるとは思いますが、勇気をもって言ったほうが、周りの協力を得られます。
施設側からしても人材確保は必須です。一人の職員をおろそかにすることは施設の崩壊にもつながるので親身になって話を聞いてくれます。
実際に私も腰に負担がない業務に就かせていただいていますし、周りの職員も協力してくれています。



私は記録業務や家族対応だったり、軽介助のトイレ介助や移乗介助などをさせてもらっています。
部署移動の場合は、デイサービスや少人数対応のユニットなどに希望を出すのも良いです。
キャリアアップも視野に入れたい場合は、ケアマネや相談員を目指すのもありと思います。
4.思い切って転職する
あなたの思いがなかなか聞いてもらえないこともあるでしょう。
そんな時は思い切って転職するほうが、体の悩みの早期解決につながってあなた自身のためです。
転職先を探すなら、介護専門の転職サイトを使用するのがオススメです。
・介護ジョブエージェント https://www.kaigoagent.com/
・介護ワーカー https://kaigoworker.jp/
会員登録は無料です。気軽に登録ができ、気になる事業所があれば担当者に細かい内容や気になることを伝えれば大丈夫です。
ただ、電話を頻繁にされることもあるので、連絡が取れる時間を担当者に伝えておくほうがいいでしょう。
登録後は定期的に心境の確認をしてくれるので、「やっぱり違うとこに…」「転職はやめてもう少し頑張ろうかな」と気持ちが変わっても大丈夫です。
日頃から気を付けることも大切


毎日の生活から腰痛予防を取り入れることも大切です。
筋トレやストレッチで体のバランスを整えること、これも重要と言えます。
筋トレでは腹筋と背筋をバランスよく鍛え整えることで、体感をしっかり支えることができます。
いきなり負荷の強いものはせずに、軽いものからすこしづつ体を慣らしましょう。
朝起きてからのストレッチや入浴後のストレッチも効果的です。
体が硬いのに無理な姿勢で介助をすることで、体や腰に強い負荷がかかります。
筋肉に柔軟性を持たせることで、ぎっくり腰などの予防もできるでしょう。
まとめ
介護士として働くことは「腰痛」を避けて通ることはできません。
放っておくとあなたの人生に大きく影響を与えることにもなります。
日頃から気を付けて生活し腰痛予防に心がけ、職場では無理な姿勢での介助や力任せな介助はやめましょう。そして腰痛になった際は医療機関を受診後、慢性化しないようにしましょう。
あなたの身体はあなたが1番の理解者になってあげてください。



最後まで読んでいただきありがとうございました。
介護現場の未来を支える記事を書いていきますので、これからもよろしくお願いします。
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